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規格第2版のPMHF式の疑問 (8) |
パターン2
続いてパターン2です。前稿の続きです。
- Pattern 2: SM1⇒IFの順にフォールトが発生し、SM1のフォールトは、SM2によって緩和され通知される。フォールトの暴露時間は、運転手が修理のために車両を持ち込むのに必要な予想される時間。
これはSM1のフォールトが2nd SMの定期周期Tserviceにより検査され、検出割合はKSM,DPFでありその全量が修理されるパターンです。時刻パラメータtが最初のSMのフォールトが起きた時刻、t′がVSGとなる2つ目のIFのフォールトが起きた時刻とします。

まずIFについては前稿と同様です。IFのLAT2Sでの状態確率は、 Pr{IF in LAT2S}=Pr{IF up at t′∩VSG of IF prevented}=KIF,DPFRIF(t′) LAT2SからDPF1Sへの微小時間での遷移確率は、IFがDPFする場合であり、 Pr{IF down in (t′,t′+dt′] | IF up at t′∩VSG of IF prevented}=λIFdt′
規格のとおりIFの確率を求めるには、IFは時刻0からt′まではフォールトせず(解説書のtは誤り)、かつ、IFに関するDPF確率密度をtからt+Tserviceまでt′について積分し、tで表します。
実はここに誤りがあり、期間をtからt+Tserviceとすると、SM1⇒IFの順のフォールトだけでなく、その逆順のフォールトも含まれます。
その理由は、パターン2は検出可能部分のSM1のフォールトなので、期間間隔Tservice内にDPF、すなわち1つめのSM1のフォールトと2つめのIFのフォールトが両方共起きる必要があります。図472.1のOPRSからLAT2S、さらにLAT2SからDPFSまでを1回の間隔Tservice内で遷移する必要があります。
また、その順序もSM1⇒IFと決まっています。SM1のフォールトが起きた時のIFのフォールト生起確率という条件付き確率であれば良いのですが、そうではなくIFとSM1のフォールト確率は独立とするならば、期間間隔Tserviceを考えるとSM1⇒IFだけでなくIF⇒SM1も含まれてしまいます。従って、半分の期間間隔12Tserviceを考えるか、または期間間隔Tserviceでの確率を求めて0.5をかけるのが正解です。従って後者をとれば、 Pr{IF fails last in [t′,t′+Tservice])=12Pr{IF down in [t′,t′+Tservice])
従って、(472.1)、(472.2)から、IFの後故障確率のtの時の値は 12KIF,DPF∫t+TservicetRIF(t′)λIFdt′=12KIF,DPF∫t+TservicetfIF(t′)dt′=12KIF,DPF[FIF(t′)]t+Tservicet=12KIF,DPF[FIF(t+Tservice)−FIF(t)]≈12KIF,DPF[λIF(t+Tservice−t)]=12KIF,DPFλIFTservice
次に、SMのOPRSでの状態確率は、u≡tmodTserviceとすれば、 Pr{SM in OPRS}=Pr{SM is up at u}=RSM(u)
OPRSからLAT2Sへの微小時間での遷移確率は、SMがフォールトする場合であり、 Pr{SM down in (u,u+du] | SM is up at u}=KSM,DPFλSMdu
次にIFとSMのフォールトは独立事象であるため、IFの確率とSMの確率の積をDPF確率として、0からTlifetimeまで積分するがSMの確率は周期Tserviceでゼロとなるため、Tlifetime中にはn≡TlifetimeTservice回存在します。従って(472.3)~(472.5)を用いて、 MPMHF,P2≈1TlifetimeTlifetimeTservice∫Tservice0KSM,DPFRSM(u)λSM12KIF,DPFλIFTservicedu=12KSM,DPFKIF,DPFλIF∫Tservice0fSM(u)du≈12KIF,DPFKSM,DPFλIFλSMTservice=12λSM,DPF,detλIF,DPFTservice
これは図104.2の初版PMHF式(パターン1, 2のみ)の、DPFにおけるパターン2に相当する部分と(IF⇒m, τSM⇒Tserviceと読み替えることにより)正確に一致します。

なお、本稿はRAMS 2024に投稿予定のため一部を秘匿していますが、論文公開後の2024年2月頃に開示予定です。
ほぼ同様な議論ですが、記事#477に再掲します。