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PMHF式の導出別法 |
PMHF公式を別の方法で導出します。本来は過去記事にもあるようにマルコフ図を用いて確率微分方程式を建て、それを解いて求めるのが王道のやり方ですが、ここでは主に論理式だけでVSG確率からPMHFを求めます。
PMHFの対象となるサブシステムは冗長系ではなく、IFUモデルとします。IFUモデルとはSMはIFの代替機能を持たず、従ってIFが非修理系、SMが修理系となるものです。
前提としてIFの故障とSMの故障は独立事象とします。IFのフォールトがVSGとなる事象は、IFが故障し、かつSMがカバーできる場合を除く場合です。一方、SMがカバーできるのはSMが動作し、かつSMのカバレージ範囲内です。これを差集合を表す論理式で表せば次のようになります。 $$ \{\text{VSG}\}=\{\overline{\text{IF}}\setminus(\text{SM}\cap\text{DC})\}\tag{987.1} $$ 式(987.1)は次のように書き換えられます。 $$ (987.1)=\{\overline{\text{IF}}\cap\overline{(\text{SM}\cap\text{DC})}\}=\{ \overline{\text{IF}}\cap(\overline{\text{SM}}\cup\overline{\text{DC})}\}=\{ (\overline{\text{IF}}\cap\overline{\text{SM}})\cup(\overline{\text{IF}}\cap\overline{\text{DC})}\}\tag{987.2} $$ 説明の順番を入れ替え、式(987.2)の第2項は、IFの故障かつSMのカバー範囲外を示すため、RFを意味します。よって、 $$ \{\text{VSG.RF}\}=\{\overline{\text{IF}}\cap\overline{\text{DC}}\}\tag{987.3} $$ 次に式(987.2)の第1項は、IFの故障かつSMの故障を示すため、DPFを意味します。よって、 $$ \{\text{VSG.DPF}\}=\{\overline{\text{IF}}\cap\overline{\text{SM}}\}\tag{987.4} $$
ところがVSG.RFとVSG.DPFの事象は排他ではないので、新たにVSG.RFと排他になるような事象VSG.DPF'を考えると $$ \{\text{VSG.DPF'}\}=\{\overline{\text{IF}}\cap\overline{\text{SM}}\cap\text{DC}\}\tag{987.5} $$
よって、式(987.3)及び(987.5)を用いてVSG事象を表せば、 $$ \{\text{VSG}\}=\{\text{VSG.RF}\cup\text{VSG.DPF'}\}\\ =\{(\overline{\text{IF}}\cap\overline{\text{DC}})\cup(\overline{\text{IF}}\cap\overline{\text{SM}}\cap\text{DC})\}\tag{987.6} $$ 排他事象の和が求められたので、式(987.6)を確率の式に直して計算していきます。
まず式(987.3)からRFの確率を求めます。
$$ \Pr\{\text{VSG.RF}\}=\Pr\{\overline{\text{IF}}\cap\overline{\text{DC}}\} =(1-\text{DC})\int_0^{T_\text{lifetime}}f_\text{IF}(t)dt\\ =(1-\text{DC})F_\text{IF}(T_\text{lifetime}) =(1-\text{DC})(1-e^{-\lambda_\text{IF}T_\text{lifetime}})\approx(1-\text{DC})\lambda_\text{IF}T_\text{lifetime} $$ ただし、$f(t)$はPDF (Probability Density Function)、$F(t)$はCDF (Cumulative Distribution Function)です。
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