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規格第2版のPMHF式の疑問 (16) |
弊社CTMCベース
一方、弊社の方式ではフォールト生起順序と積分順序は同一です。

CTMC理論
CTMC理論に基づけば、時刻tにおけるサブシステムのレイテントとなる状態確率は「SM1がdownかつSM2により非検出かつIFがup」であるため、 Pr{SM1 down at t∩fault not detected∩IF up at t}=FSM1,DPF,lat(t)RIF(t)=(1−KSM1,DPF)FSM1(t)RIF(t) レイテント状態における微小時間間隔dt間の遷移確率(条件付き確率)は、公式(66.8)より Pr{IF down in [t,t+dt)|SM1 down at t∩IF up at t}=KIF,DPFλIFdt となります。従って確率は(480.2)と(480.3)の積を0からTlifetimeまで積分した KIF,DPF(1−KSM1,DPF)∫Tlifetime0FSM1(t)RIF(t)⋅λIFdt となり、(480.1)※で示すパターン1のDPF確率と一致します。
両者の比較
前稿の解説書の方式はフォールトと順序積分順序が逆ではあるものの、図479.1と図480.1を比較すれば、特に大きな問題はなさそうですし実際に結果も一致します。しかしながら、弊社の方式はCTMC理論でも裏付けされており、フォールトと順序積分順序も一致しているため、straight forwardだと考えます。
結論
本来の条件であるIFとSM1の両方がrepairableであるというシンプルな条件と異なるため、誤りではあるものの、規格第2版の前提と想定される、以下のおかしな条件(図313.1)によるPMHF式の導出はこれで完了です。
- サブシステムはIFとSM1とSM2から構成される。
- もしSM1のフォールトが最初に起きた場合、SM1はrepairableとなりIFはunrepairableとなる。
・SM1のフォールトのSM2により検出されない部分は修理されず、暴露時間はTlifetimeとなり、 (Pattern 1)
・SM1のフォールトのSM2により検出される部分は修理され、暴露時間はTserviceとなり、 (Pattern 2)
暴露時間中における引き続くIFの最初のフォールトでDPFが発生する。⇒IFUモデル - もしIFのフォールトが最初に起きた場合、IFはrepairableとなりSM1はunrepairableとなる。
・IFのフォールトのSM1により抑止されない部分は修理されず、暴露時間はTlifetimeとなり、 (Pattern 3)
・IFのフォールトのSM1により抑止される部分は修理され、暴露時間はTserviceとなり、 (Pattern 4)
暴露時間中における引き続くSM1の最初のフォールトでDPFが発生する。⇒SMUモデル
なお、本稿はRAMS 2024に投稿予定のため一部を秘匿していますが、論文公開後の2024年2月頃に開示予定です。